みんな弱者、弱者の法則で勝つ

強者には王道の法則がある、弱者は1点に集中して攻める

みんな弱者、弱者の法則で勝つ

あなたが、その市場で半分近くシェア率なら、半分近く販売しているなら、
シェアナンバーワン企業で強者です。
しかし、殆どの場合は違います。
であれば、あなたは弱者です。
新しく市場に進出する場合も弱者です。
すでに強者として君臨している相手に真っ向勝負を仕掛けても撃墜です。

例えば

例えば、少し昔の話になりますが、
キリンビールとアサヒビールの例をお話します。
もう30年以上前、
ビール業界では、キリンビールが、圧倒的なシェアを誇っていました。
強者ですから、TVコマーシャルも「強者の法則」で王道コマーシャルです。
当時の王道コマーシャルは、超一流の役者が、その商品を使っているというイメージ広告です。
例えば、「高倉健さんが、キリンビールを選んだんだ」というコマーシャルです。
(注意ですが、高倉健がアサヒビールのCMに出ていたこともありますが、まだ若い時です)
そこにアサヒビールがキリンビールのCMに対抗して、一流タレントを起用しても
それほどの効果はでないでしょう。1番ではないからです。
この頃、アサヒビールは歴史的な商品「スーパードライ」を誕生させました。
その数年前から、アサヒビールは、色々な缶ビールを誕生させては、失敗していました。
サントリーが、「ペンギンズバー」などをはやらせた後です。
話を戻します。
アサヒスーパードライは、弱者の法則である『一点集中、切り崩しの戦略』をとったのです。
一点集中の切り崩しとは、商品コンセプトの「キリッとスッキリ、辛口」の嗜好が合う若い会社員を
ターゲットに想定し、
CMは、タレントを使わず、無名の若いモデルで、顔も出さない。(落合信彦を使ったりもしましたが・・・)
CMでは、キンキンに冷え、缶に水滴がいっぱいついたシズル感を思いっきりアピールし、
そして、躍動感あるカメラワークで若さを強調したのです。
つまり、「若い人はコレでしょ!」「若者のビール」と言わんばかりのCMで、若者に焦点をあて、切り崩しを図ったのです。
お父さんたちが、「ビールはやっぱりビール酵母の旨味がガツンとくるキリンよぉ。」といっても
若者たちは、「スーパードライ」を選びました。
やがて、「スーパードライ」はキリンと肩を並べ、タレントを使った王道CMに変わりました。
福山雅治やイチローは最近のCMですね。
このキリンとアサヒのコマーシャルは、その間にもいろいろあり、とてもおもしろいです。
機会があったらまたお話します。

つまり、弱者は、正面からの勝負は避け、何か一点集中切り崩しで、その一点を広げていくのです。
ニッチ戦略にも似ています。ブルーオーシャンという戦略にも似ています。
これはまた機会があればお話しましょう。
強者が勝負していない、それほど力をいれていない一点だと、
使うエネルギーも、つまり費用も正面から勝負するより、少なくて効率がいいのです。
そして、戦略も立てやすいのです。
キリンとアサヒの話は、大企業の例ですが、小さな市場でも同じことが言えます。
皆さんは、自分たちを弱者と思っていないかもしれませんが、
圧倒的なシェアをとっていない限り、弱者であり、
その業界での新参者も弱者からのスタートなのです。
何を、どこを1点と考え、崩していくか、これも面白い課題です。
業種や市場、ライバル会社を平面にマッピングして比較していくと
色々なヒントが見えてきます。
マッピングから、負けているポジションは、同等レベルに見せ、
少しだけ勝っていると言えるポイントに焦点をあて、圧倒的に勝るポイントに作り上げる戦略を組み上げていきます。
次回、具体的にご説明していきたいと思います。